〔第6回〕 ~タランチュラに噛まれた!~ <グアテマラ>
“Think Globally, act locally(地球規模で考え、足元から行動する).”
これは、80以上の国々への訪問歴・居住歴のある学院長・中川が、その思い出をランダムに記すシリーズコーナーです。お気軽にお読みいただければ幸いです♪
当コーナー、これまでの5回は、わりと「イイ話」を紹介してきましたが、当然、ドジな私ですので、失敗談もた~~~くさんあります(苦笑)。今回は、数ある失敗の内、中米での失敗談を2つ紹介します。皆さんが同じ様な失敗をすることがないよう(まあ、そんな方はいないと思うが)、他山の石としていただければ幸いです(笑)。
1.タランチュラ!
中米はグアテマラ北部に立地する世界遺産ティカル。
密林に数多くのマヤ遺跡が点在するその場所で、美しい神殿をじっくり眺めようと切り株に腰を下ろしたとたん、お尻に鋭い痛みが! 棘でも刺さったのかなと思って確認すると、何とそこにはタランチュラが!
薄手とはいえズボン越しだから大丈夫かなとは思ったが、
でもあれは噛まれた訳じゃないし・・・
係員に事情を説明すると、「噛まれた箇所を見せなさい」。
恥をかなぐり捨ててお尻を見せると、係員のオジさんは患部を水で洗って軟膏薬を塗布し、「OK! No problem!」。 え~! 血清とか解毒剤の注射しなくて大丈夫なの?! 彼曰く「タランチュラには様々な種類がいるが、総じて、世間で思われているほど毒性は強くない。お前の話を聞く限り、噛まれたタランチュラは種類的にもサイズ的にもそんなに危険じゃない」。
プロがそう言うなら大丈夫かなとは思ったが、まだ不安げな私を安心させようとしてか、或いは、単に暇で話し相手が欲しかったのか、オジさん「まあ座ってコーヒーでも飲んでけ」。長渕剛の歌“トンボ”の『ケツの座りの悪い都会で~』ならぬ“タランチュラ”『ケツの座りの悪いジャングルで~やん!』などと我ながらしょーもない自虐ギャグを心中呟きながら、折角なので有難くグアテマラコーヒーをご馳走に。彼は話好きで、ティカル遺跡の素晴らしさ等をあれこれ語ってくれる。スペイン語に英語を織り交ぜながらの話なので、半分ぐらいしか内容は分からなかったが、それなりに楽しく勉強になるひと時だった、
別れ際、ウィットに富んだオジさんは話をタランチュラに戻し、「まあ、明朝目覚めれば大丈夫ってこった(笑)」。ジョークとは知りつつ、翌朝無事に目覚めた時にはちょっぴりホッとしたかも(笑)。
ということで、
<警句その1>
タランチュラが生息していそうな場所で腰かける際には、ちゃんと確認してから座った方がいいです!
まあ、当たり前のことですが(苦笑)
2.体力喪失・・・
この旅では、北米大陸から南米大陸まで陸路で南下し(パナマ→コロンビアは陸路が不可なので、ここのみ空路)、最終的にはペルー、時間許せばチリまで足を延ばし、あわよくばチリ/アルゼンチン国境に聳える南米大陸最高峰の「アコンガグア(標高6959m)」への登頂を試みられればと考えていた。
しかし、自分の不注意のせいで、南米の北端コロンビアでタイムアップとなってしまった・・・。その経緯は次のとおり。
〔原因① @日本〕虫歯を抜歯したばかりの状態での出国となった。==⇒ 咀嚼力低下・・・
↓
〔原因② @メキシコ〕
メキシコの食事はどれも非常に美味しいのだが、私が最も気に入ったのはホットドック。「メキシコまで行って、なんでホットドックやね~ん?!」との声が聞こえてきそうだが、首都のメキシコシティーでは街頭のあちこちで移動式のホットドック屋が営業しており、こちらが希望しただけの量のチリ(トウガラシ)を挟んでくれる。
辛い物好きな私は、溢れんばかりにチリを挟んでもらったホットドックを、抜歯して不自由な状態で、よく噛みもせず毎日食べていた。==⇒ 胃腸に負担が・・・
↓
〔原因③ @エルサルバドル〕
メキシコからベリーズ、そしてタランチュラに噛まれたグアテマラを経てエルサルバドルに入ると、好きなフルーツをその場で絞って飲ませてくれるジューススタンドがあちこちに。さすが南国!
うだるような暑さの中でいただく氷たっぷり入りフレッシュジュースは激ウマ♩ 海外で氷は危険だと分かってはいたが、まあそれまで何もなかったので今回も大丈夫だろうとタカをくくり、連日のように美味しくいただいていた。
また、ベリーズやグアテマラではなぜか牛乳に巡り合えなかったが、エルサルバドルでは、よ~く冷えた牛乳を販売している店を発見!
ビッグサイズしかなかったが、毎日でも牛乳飲みたい人間の私は、それまで抑えていた牛乳欲を満たすべくこれをガブ飲み! ==⇒ そろそろお腹の具合が・・・
↓
〔その結果〕
遂に、というか、やはり来ました。腹痛、そして下痢。それも半端ない痛み・・・。抜歯で咀嚼力低下→ 激辛チリ大量摂取 → 氷たっぷり入りフルーツジュースがぶ飲み → 冷えた牛乳がぶ飲み。以上の暴飲暴食が招いた結果であり、特に氷入りフルーツジュースで細菌にやられたっぽいところに冷えた牛乳がとどめを刺したものと推測されるが(笑)、ともかく、自分の体力への過信と油断が招いた生涯最大の下痢・・・。
政情不安定なエルサルバドルの首都サンサルバドルでは、夜は軍用ヘリがサーチライトで街を照らしながら巡回飛行しており、その音が、ベッドでただただ痛みに耐える私の神経を責め立てる・・・。しかし、何としても南米大陸へ辿り着かねば・・・。
フラフラしながら長距離バスに乗り込み、隣国ホンジュラスの首都デグシガルパまで辿り着いたが、投宿した安ホテルの1室でとうとう動けなくなった・・・。
熱帯地方で蒸し暑いはずなのに悪寒に苛まれ、シーツにくるまって寒気と腹痛みに耐えつつ、頻繁にベッドとトイレを往復。何日かこんな状態が続き、回復を図るために何か食べなきゃと思い、宿から300m程の場所にある中華料理屋へ行こうとするのだが、途中1回は休憩しなければ辿り着けないほど消耗していた。生まれて初めて体感する「体力を失う」という状態・・・。入店したらしたで、食い意地は張っているため頭は食を欲しているのだが、身体が受け付けない・・・。卵スープのみオーダーし、それを一匙ずつゆっくり口に運ぶ。店員は『変わった外国人だな・・・』と感じていたと思うが、1日1食、その店で卵スープのみを食し、あとはひたすらベッドに横たわる日々。
数日が経ち、多少回復してきたので、長距離バスやヒッチハイクでニカラグアを抜け、“中米のスイス”と呼ばれるコスタリカへ入国。首都サン・ホセの日本人が経営している宿で、日本語の書籍や漫画を読みながら1週間程静養に努めた後、再び南下を開始するも、結局、アコンカグアどころか、コロンビアの首都サンタフェ・ボゴダで時間切れとなり、帰国の途に就くことと相成りました。
【警句その2】
私のように、チリを摂食し過ぎたり、氷入りジュースや牛乳を飲み過ぎてはダメ!
まあ、これも当たり前のことですが(苦笑)。
多くの日本人にとって中米は馴染みの薄い地域であり、観光地としてもマイナーなエリアだと思う。だが、私自身は中米諸国の見所の大部分をスルーする結果になってしまったが、小国が数珠つなぎに並ぶこのエリアは、見事な遺跡や豊かな自然など、大いに魅力に満ちた国々なので、旅先として十分お薦めできる国々だと思う。但し、タランチュラには気を付けて(笑)。
以上、今回もおっさんの昔話に最後までお付き合いいただき有難うございました。よろしければ次回もお付き合いください。
2021年2月24日 中川 智幸